QOMとは?

QOMとは、Quality of Motion の略で、スポーツや日常生活における身のこなしや動作の質を意味します。
健康づくりを目指したトレーニングでは、通常、「有酸素運動」と「筋力トレーニング」が推奨されています。これらのトレーニングでは、運動強度、運動量、持続時間や頻度が目安として示されていますが、動作の質についてはあまり触れられていません。
スポーツや身体を使った動作、芸術・芸能などの所作では、動きの合理性、柔軟性、バランス、見た目の美しさなどの要素や、怪我をしにくい、疲労しにくい、無理のない自然な動きといった要素も重要です。これらの要素は「動作の質」にかかわるものです。
QOMを高める目的で小林寛道東京大学名誉教授が開発したトレーニングが『認知動作型トレーニング』です。このトレーニングでは、独自に開発されたマシンが用いられ、
- インナーマッスルを有効活用する動作の習得
- 体幹部をはじめ身体各部の柔軟性の向上
- 身体操作能力の向上
健康づくりに必要な要素が多く含まれており、無理のない方法で、様々な体力水準の人が楽しくトレーニングできることも特徴のひとつです。
十坪ジムとは?
十坪ジムは、「認知動作型トレーニング」を多くの人々が実践できる場として、いつでも、誰でも、自分のペースで、楽しく快適にQOMトレーニングができる拠点です。
もともとはアスリート向けに考えられたトレーニングですが、良い姿勢を保ち、美しく歩く、走ることができるようになるQOMは、一般に健康づくりに有効とされ、「平成18年度経済産業省健康サービス創出支援事業」および「平成18年度千葉県国際学術研究拠点形成促進モデル事業」に採択され、千葉県柏市などを中心に活動が広がっています。
小林寛道 東京大学名誉教授

プロフィール
東京大学教育学部卒
東京大学大学院教育学研究科修士課程修了
教育学博士
東京大学名誉教授
静岡産業大学客員教授
第16回秩父宮記念スポーツ医・科学賞功労賞受賞(2013年)
(財)日本陸上競技連盟関係委員、文部科学省関係委員、(財)日本体育協会関係委員、独立行政法人スポーツ振興センター関係委員、(財)しずおか健康長寿財団 副理事長、日本発育発達学会会長。運動生理学、体力科学、バイオメカニクス、発育発達学などを基礎に、幼児から青少年、中高齢者、低体力高齢者、オリンピック代表選手、プロスポーツ選手を対象に、 年齢や体力レベルに合わせた適切なトレーニングの実際方法に関する研究を 45年間にわたって推進し、その成果を千葉県柏市や静岡県をはじめ、全国規模で社会還元している。高地トレーニングや低酸素トレーニングについて、 NPO法人「高所トレーニング環境システム研究会」を1997年に創設。
認知動作型トレーニング
ボディ・インナーマッスルを鍛える



小林寛道東京大学名誉教授の研究では、大腰筋が太く、また上手に使えているアスリートは足が速いことがわかっています。大腰筋とは、上半身と下半身を連動させるために必要なボディ・インナーマッスル(体幹深部筋)の一つで、インナーマッスルの重要性の認識は、近年広まっています。
一般的な筋力トレーニングは、体の表面に近い筋群(浅層筋)を太くたくましくすることを目指すと共に、体力の低下と結びつけた「筋力低下」を予防し、回復させることが意図されています。
認知動作型トレーニングでは、ボディ・インナーマッスルを鍛える事、使い方を体に覚えさせることで、強い体幹、体のバランス、そして関節可動域を広げる事による柔軟性の向上を目指します。これによりアスリートの能力の向上を目指す他、大腰筋の太い人には寝たきりが少ないことも研究されており、高齢になっても元気に動く事のできる体づくりを目指します。
アスリートに


スプリントトレーニングマシンを用いて、東大陸上部の部員をトレーニングしたところ、100m11秒5がベスト記録であったI君が、短期間のうちに10秒9に記録を伸ばしました。
高校女子選手のSY選手は、高校2年から週1回スプリントトレーニングマシンを用いたトレーニングを取り入れ、800m記録を伸ばした。大学進学後は、全日本学生選手権大会で1500m、5000mに2種目優勝し、実業団に就職した。高校時代に、スプリントトレーニングに取り組まなかったSY選手の同僚であるB選手は、同時期に記録の向上が認められなかった。
また、東大陸上部の新妻選手は、大学在学中に5000m記録を15分00秒から14分03秒まで向上させました。新妻選手は、スプリントトレーニングマシンの原理をよく理解し、自らのランニング技術に取り入れて記録を向上させています。短距離でも長距離でも走技術の基本は同じです。
スポーツ場面と同じような動きの中でインナーマッスルを鍛えることにより、
- より実践に即したパフォーマンスの向上につながる
- バランスの良い動作が身につくので、ケガもしにくい体の使い方ができる
- 膝腰同側動作や上半身(肩甲骨)と下半身の連携ができることにより、パワー発揮を高めることができる
ウォーキングやランニングに

骨盤や体幹深部筋を上手に使って歩くことにより歩幅が大きくなり、効率的で美しい歩き方をすることができます。さらにインナーマッスルを動かすことによって、太ももをしっかりと引き上げることができ、歩行能力がアップします。
背骨のS字を自然に支えて、お尻の筋肉を引き上げる事ができます。
インナーマッスル(大腰筋)がしっかりとしていると、内臓の位置も正しい位置に保たれるため腰まわりが引き締まります。
将来の健康に

普段眠っている筋肉を動かすことによって、日常生活動作が楽になります。おもりを負荷に用いないトレーニングマシンなので、エキセントリックな筋力発揮要素が少なく筋肉痛が起きにくいので、低体力者でも無理なくトレーニングを続けることができます。
また、認知動作型トレーニングをすることで、脳にもよいトレーニングになります。